33年
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スケールアップ

 いわみ銀山の中心的つち親の、林太郎右衛門(はやしたろううえもん)と、その一家が全員そろってキリシタンになったという話しは、たちまち知れわたり、はかりしれない影響をみなに、特に、つち親たちに及ぼした。 
 どこへ行っても、よるとさわるとこの話しだ。林一家の皆も、自分の新たなよろこび、希望、生きがいについて黙ってなんていられない。 真理や、救いをさがしていたものは皆、彼らの話しによろこんで、そしてまじめに耳をかたむけた。いわみ銀山全体に、キリシタンへの改心の波がおしよせた。世間では禁教令がしかれているが、ここではそんなのまったくおかまいなしだ。 
 しかも世間では仏教の、または、神道の親類縁者、特に、父母兄弟が反対したりもする。しかし、ここのならずものたちは、そういうしがらみを、ここにくる以前からまったく断ち切っている。

 誰にも遠りょがなかった、ならずものたちだ。悪をなしているときも同様に、善をなすときも遠りょはない。また、彼らに干渉する関係者などここにいない。つち親でさえ、彼らがキリシタンになろうがいっこうにかまいやしないし、逆に自分がキリシタンになるときには、ほり子、全員にキリシタンになるよう命じてしまう。
 こうして一家あげての改心が、他のつち親のもとで連鎖反応のように次から次へと起こったのだ。シストは、今や大将のような存在だ。  他の一家にも林一家同様に教え、キリシタン地下教会を国中の鉱山に広げる戦略をさずけ、実行させる指揮官だ。
 六左衛門も、ひんぱんに、いわみ銀山を訪れ、教え、洗礼をさずけた。こうして、林一家だけで、スタートというシナリオは、多くのつち親と、その一家と合同でスタートということに、スケールアップしてしまったのだ。すなわち、キリシタンのつち親が、計画の何十倍ものスピードで誕生していきだしたのだ。もちろん、やま師も多くのキリシタンになっていった。





2008年5月26日 UP
著者 ジャン・マリー神父・ソーンブッシュ・リトルヨハネ
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